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チェックラップコック国際空港【香港】

大きくバンクしたジャンボジェットが路地に開いた狭い空を覆い尽くしてファイナルアプローチを行う「香港カーブ」で航空マニアには他に変えがたい人気を誇っていたカイタック国際空港。これを全面閉鎖して1998年に新しいチェックラップコク・香港国際空港が開港した。関西空港のデザイナー、レンゾ・ピアノと並ぶ「ハイテク建築」両雄のもう一方、ノーマン・フォスター卿率いるフォスター アンド パートナーズが1980年代終盤からデザインを始める。

ノーマン・フォスター卿はその名に「卿」が付くことからも分かるように英国の伯爵である。1997年まで英国が統治していた香港において英国の伯爵がその巨大プロジェクトを任されるとはいかにも中央集権的な図式だが、1986年、香港島での大プロジェクト、香港上海銀行(HSBC)本店のデザインを大成功させたのだから当然といえば当然の起用だったのかもしれない。
香港での前作、HSBC本店ビルは地上180m、47階の超高層建築。シンプルかつアクロバティックな構造を剥き出したその外観は「ハイテク建築」の魅力を余すところなく伝えるが、地上に這うチェックラップコク国際空港においても伯爵のハイテク趣味にはさらに拍車がかかり、さながら海上未来都市のごとく具現化される。

2本の滑走路の東端を結ぶように滑走路と直交方向に配置されたターミナルからは滑走路と平行に各ゲートへとサテライトが延びる。最終的には二股に分かれ、上空から見るとYの字形を成すこのサテライトも、そして本体ターミナルもすべて滑走路と平行に配置される長短の細長いボールト(丸)屋根を並べることで構成されるというシンプルなモジュールシステムで構成される。現在のサテライトの西側延長線上に将来増築される予定のYの字型をふたつ組み合わせた平面形をもつ第2サテライトも、まったくおなじモジュールシステムが採用されることが決定している。

f0039080_1157412.jpeg

長いフライトを終え、香港市内行き交通機関へ乗り継ぐ時、あるいは市内から到着し、航空機へ搭乗するまで、屋根の向きに逆らわず進めばまず迷うことはない。先行した関空からの影響もあったのか、市内行き交通機関との乗り換え方式もさらに洗練されたものになる。香港経済の中心、セントラル(中環)に近い香港駅まで約30kmをわずか23分で結ぶエアポートエクスプレス列車は、市内から空港に到着し出発客を降ろした後、一旦坂を下った引込み線に引き上げて到着階と同レベルの発車用プラットホームにわざわざ入れ替えられ、今度は到着客を乗せて市内へ向かう。こうすることで到着客は上下移動なしでエアポートエクスプレスに乗り込むことができるし、出発客は緩い勾配をもったフライングコリドール=空中廊下を進めばプラットホームから半フロア分だけ高い出発ロビーへ至ることができる。発車・到着が2層になったエアポートエクスプレス駅の屋根にあたるフロアはエアバス(空港連絡バスを香港ではこう呼ぶ)やタクシーの降り場となっており、こちらからはフライングコリドールの緩い勾配を半フロア分下ると出発ロビーに到達する按配だ。

ただし、東端にターミナルを配した結果、出発ロビーから航空機までは遠い。サテライトがYの字に分かれるまではグランドレベルを走るトラムが運んでくれるが、その先は動く歩道に頼らねばならないし、そもそもトラムの乗り場には出発階から相当深く潜らねば到達しないので上り下りがめんどうだと全距離を動く歩道で移動することになってしまう。

前述の第2サテライトは誘導路をはさんだトラムのレールの直線延長上に配置されるので、ここへは必ずトラムで移動することとなるだろうがその先はやはり動く歩道。ターミナルから第2サテライトの先まではほとんど滑走路の全長分に近く、3000mもあるだろうか。滑走路端にターミナルを配置する特異なレイアウトはサテライト両側に効率的にボーディングゲートを配置できるメリットを生むが、乗客の動線計画としては厳しい。

f0039080_11573488.jpeg

未来的なデザインと銀色に輝く質感から「ハイテク」感あふれるチェックラップコクだが、実は構造的にはさほど目新しいものではない。特徴的なボールト屋根にしても床から生えた鉄骨の柱を結ぶ張弦梁が、精緻にディテールをデザインされた結節部を介して構成され、張りつめたバランスを示すが、それとて今となってはごくありきたりな安定したものだ。

アプローチする機内から外観を眺めても、巨大な光ファイバーチューブでも並んでいるかのようなボールト屋根の重なりに未来都市を感じこそすれ、抑揚のない印象は華やかさに欠ける。しかし、ここではそんな建築技術的な評価よりもむしろ、ボールト屋根の頂上に三角形に穿たれた無数の天窓によってとりこまれる太陽の光に注目した方がいい。

天窓の下に吊るされた薄いスクリーンを介して拡散されたやわらかい自然光はわずかな陰影のみを残し巨大な空間全体を均質化してまるで未来劇場のような浮遊感を漂わせる演出を施す。行き来する乗客たちは主役たる巨大舞台のエキストラとなる。生きる人々それぞれが主役を演じる活気に満ちた香港の街とは主客が逆転する。

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  1. 2007/01/08(月) 20:13:54|
  2. 空港
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

字 多いな。

文字が多くて読みにくいので、
数行ごとに1行アケてもらえると読みやすくなると思うんですが…。
  1. 2007/01/15(月) 15:21:21 |
  2. URL |
  3. カトA #-
  4. [ 編集]

りょうかいいたしました。
  1. 2007/01/15(月) 15:23:20 |
  2. URL |
  3. いぬわん #-
  4. [ 編集]

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