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犬(ケン)チク

トシ・ケンチクおさんぽ

One World Trade Center, New York

2001年9月11日に廃墟となったあの場所、
すなわちその後「グラウンドゼロ」と名付けられたその場所にはいよいよ多くのスカイスクレーパーが立ち並ぶことに。
SOM設計のOne World Trade Centerは全米一の高さを誇る。
だが、かつてアメリカの富を象徴したマンハッタンのスカイラインは
まるで上海かドバイのように品がないものにしか見えなくなってしまった。

私はイスラム原理主義を憎む立場にはないが、
あのミノル・ヤマサキの優雅なツインタワーを失わせたのには困ったものだと思う。
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  1. 2014/11/13(木) 16:02:30|
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国立新美術館,東京

都知事選に次ぎ参院選にも立候補して白痴ぶりをわかりやすくさらけだした黒川紀章の最新作。
建築家の知性なんて黒川ならずともこんなもん。
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佐藤可士和によるロゴはまあ、新しい感じがする

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玄関付近では頂上が丸められるガラススクリーン

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奥へいくにつれ立ち上がる

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乃木坂側では完全に垂直となるこのガラススクリーンは美しい

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表面のガラススクリーンと背後の展示室であるコンクリートのボックスとのすきまに生じるこの吹き抜け、そして吹き抜けに屹立するコンクリートの円錐の頂上にあるレストランの存在がこの建築の唯一の見せ場だろう。

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吹き抜けを見下ろす

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「美術館」という名のアミューズメントセンターか?都合4箇所にもなるカフェ、レストランのうち地階のカフェテリアは吹き抜けの底にある。こんなところでダレがメシを喰うのか?
その意味では円錐の頂にあるポールポキューズのレストランもおなじ。

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ディテールに目を凝らせば、政治家はおろか、建築家として機能していることも疑う。廊下、展示室内、それにその導入部とまったく調和のとれていない素材によるフローリング。

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それでもガラススクリーンからこぼれる太陽がつくる光と影は美しい。
  1. 2007/08/17(金) 17:00:01|
  2. 美術館・博物館
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ゴールデンゲートパーク デ・ヤング美術館,サンフランシスコ

いまをときめくヘルツォーク・ド・ムーロンの最新作。


サンフランシスコのダウンタウン、北西端に広がるゴールデンゲートパークの広大な緑の中に忽然と鉄の塊が現れる。

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象徴的な展望塔。これまで美術館に展望塔などを建てた例はあるか?

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外壁の表皮だけが少しめくれ上がってエントランスが隠れている。

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エントランスゲートをくぐると、Helen Diller family courtyardと名づけられた中庭を横切る。

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見上げれば、もちろん展望塔。

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おそらく、パトロンの名前であろう、Helen Diller family courtyardのネームプレート。

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奇抜な外観に対してインテリアはごく普通。
これは受付ホール。
右の階段を下ると展示室。

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その階段を降りきったところから今度は見上げてみた。

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中央部に広がる吹き抜けホール。

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そして展望塔に登って驚いた。
これが見下ろした本体の屋根。
平べったい本体にはいくつかの亀裂が入り、その部分が中庭になっている。展望塔はゴールデンゲートパークの緑を俯瞰するためにあるのではなく、この鉄の塊に走る亀裂を見せるために建てたのだ。

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エントランス部分の中庭もその亀裂のひとつだった。

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この建築の凄みは鉄板を叩き出し、穿ったこの表皮に宿る。
  1. 2007/05/16(水) 21:00:07|
  2. 美術館・博物館
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関西空港,大阪

1994年に開港、今年でちょうど開港10年を迎える関空は成田に次ぐ日本第2の国際空港だが、先輩である成田に引き離されこそすれ、決して追いつくことができないほど、その利用は低迷している。しかし、急な出張を命ぜられ大あわてに乗り込む国内線で、連絡鉄道の改札口から階段を一段も上り下りすることなく航空機の座席まですべり込めた時、そして、巨大な鉄の卵の中にいるような国際線出発ロビーでこれから始まる世界への旅を思いしばしたたずむ時、成田が逆立ちしても及ばない機能性と豊かな空間性に気付くだろう。


1988年に催された国際コンペで採用になったデザイン案はイタリアの建築家レンゾ・ピアノ率いるレンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ社による。1970年の大阪万博でのイタリア館、そしてイギリス人建築家リチャード・ロジャースと組んでデザインしたパリのポンピドーセンターなど、建築の構造体そのものを外部に露出する独特の作風で1960年代から活動を始めたレンゾ・ピアノの作品は、香港チェプ・ラク・コク国際空港のデザイナーであるノーマン・フォスター卿や、ドーバー海峡を結ぶ超特急ユーロスターが発着するロンドン・ウォーター・ルー駅のニコラス・グリムショウなどの作品とともにハイテク建築、とも呼ばれる。



この国際コンペの際のデザインがそのまま現実のものとなったときに驚いたのは日本の航空業界や建築業界だけでなかった。そもそも国際空港などという国家的事業を外国人に任せる、などと言った事自体、例がなかったといえるわが国で、まず優勝したことだけで奇跡、その後、悪名高いこの国のお役所の指導で、コンペ案は捻じ曲げられるとばかり考えられていたのに、発案当初の優美なデザイン案がほとんどそのままの形態で現実化されたのだから、バブル経済の遺跡としても悪くはない。

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4階出発ロビー
やわらかな曲面を構成する屋根を支える鉄骨トラス、その間に配されるエアダクトの機能を果たすテフロンの幕。硬さとやわらかさが共存する大空間は遥かな旅路を思うにふさわしい。

デザインの特徴は屋根にある。滑走路に垂直方向での短手の断面が優雅な曲線を描くことは、外部からはもちろん、国際線出発ロビーや、国内線でも搭乗ゲート付近からも見て取れる。しかし、この屋根が滑走路に平行側、すなわち、建物の長手方向にも大きな曲線を描いていることに気付く者は少ないだろう。どちらの曲線を指して表現したのかは定かではないが、この屋根をして「飛翔」だの、「やすらぐ翼」だのとあたかも航空機の主翼をモチーフとした安易な比喩であることのように語られることも多い。たしかに、銀色に輝くステンレス製の屋根がゆったりと波打つ様は航空機の主翼を連想させるに十分な形状だが、レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップはただそれだけを表現したのではない。1階から4階までの必要な機能を合理的に包み、かつ、キャニオン(渓谷)、と呼ばれる鉄道駅側の巨大な吹き抜け空間や、最上階の国際線出発ロビーの開放的な広がりなどの最小限のゆとりを実現するために必要な形状として、まずターミナル短手方向の断面形状が決定される。そして、ターミナルから南北に伸びるウイングでは、その先端に近づくにしたがって減る交通量に見合った巾に縮小していくのにあわせて、屋根も徐々にその高さを減らしていくのだ。その結果、長手方向にも大きな円弧を描くこの屋根は、実は航空機が結ぶ、地球の丸みさえ、表現するのではないだろうか。



機能、構造、設備においても革新的である。前述のように、鉄道駅改札口から国内線なら出発、到着どちらも上下の移動は不要。さすがに出国手続きを伴う国際線だとそうはいかないが、それでも空港に到着した出発客はかならず最初に1階から4階までを俯瞰できるキャニオンを渡るので、空港全体の機能を把握することができる。
しかも、チェックインまでの上下の移動はこの見通しのよいキャニオンを縦横に走るシースルーのエレベーター、エスカレーターで行うので、はじめての旅客でもまず迷うことは少ない。

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キャニオン
1階から4階までを貫通する吹き抜けはさながら渓谷(キャニオン)の様相を呈する。あくまでもステンレスやガラスといった素材の地色にこだわるこの建物において唯一、ピンクの壁や黄色いエレベーターシャフトなど、エレメントごとに異なるパステルトーンの色がつけられたこの渓谷を縦横に走るエレベーターとエスカレーターにより、乗客は迷わず目的階に到達できる。


レンゾ・ピアノの最大の売りは建築構造の美しさにある。件の曲線を描く屋根を支える鉄骨トラスは4階全体の巾80mを1本のトラスで結び、それを平行に並べて国際線出発ロビーの柱が1本もない大空間を実現している。平行に並ぶトラスの間にはテフロン製の幕がこれも微妙な円弧を描いて張られているが、これは地下の冷暖熱供給プラントで生み出された空調された空気をこれに噴きつけ、空間全体の均等な空調を実現するエアダクトの役割を果たしている。さらに、彫刻家新宮晋の手によるオブジェ、「フライングモビール」はこのエアダクトからの風を受けることでゆったりと動いているのだ。

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3階国際線制限エリアから4階屋根を見上げる


航空機の撮影場所として貴重な展望台からも見て取れるので、航空機ファンの読者には周知のことかもしれないが、大阪府南部の陸地から連絡橋を渡ること5km、広大な人工島に優雅に拡がる巨大な円弧に気付き、そのデザイン意図を思うとき、この建築の志の高さにあらためて感動する。


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エアサイド(2階出発ゲート)
屋根の曲面はそのまま曲率を上げてエアサイドのガラス面となる。このハイテックなデザインのガラス面越しに離着陸する航空機を眺めるとなにやら昔描いた未来図のよう。

(2004年2月記)
  1. 2007/04/23(月) 15:31:26|
  2. 空港
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スペイン・ビルバオ グッゲンハイムミュージアム・ビルバオ

フランクロイドライト設計によるらせん状の展示室をそのまま外観に現した建築だけでも大きな現代美術作品としての価値を持つニューヨーク、グッゲンハイム美術館。その分館がビルバオにある。




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グッゲンハイム美術館ビルバオ。米西海岸を拠点に活躍するフランク・O・ゲーリー 1998年の作品。
ビルバオを訪れる観光客はかならずここへ寄るはず。
というよりも、これを見るために世界中から観光客が集まるといえるのかもしれない。
デコンストラヴィズムを先導するゲーリーらしく、一切の水平・垂直の直線をもたない外観は珍妙である。

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建物に寄ってそのテクスチャーを感じる。

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どこまで寄っても直線は見当たらないが、実は内部空間は外観ほど複雑ではない。ようは一種のはりぼてであるところがニューヨークの名作との差だ。

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正面玄関。
右端の物体が気になりますよね?

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かのマルセルデュシャンの系譜にのる、ジェフクーンズの作品、高さ10mの犬。

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犬はその全体がパンジーでできている。
建築そのものより、こちらの犬に人気が集まるのもうなずける、かわいらしさ。

  1. 2007/03/08(木) 15:08:54|
  2. 美術館・博物館
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